バレルとは
ソフトダーツの4つのパーツのうち、バレルと呼ばれる金属部分がグリップする場所(手で握る場所)です。
一般的に、タングステンという希少金属が使われており、値段も一番高いパーツになります。
残りのフライト、シャフト、チップといったパーツは消耗品で安いものなので、簡単に交換したりカスタマイズができますが、バレルは値段も高く、長く使います。そのため、バレルをどう選ぶかがマイダーツ選びで一番大事です。
実店舗で実際に試し投げができる場合は、主に持ちやすいもの(グリップしやすいもの)を中心に試し投げするだけで、自分の相性のいいものを感覚的に探すことができますが、ネットショップで買う場合には、素材、形状、重さ、重心、カットなどいろいろなポイントを考慮しながら自分に合ったものを探すことになります。
バレルの素材の違いについて
バレルの素材には、タングステンや、アルミ、ステンレス、ブラス(真鍮)といった素材があります。
素材それぞれの金属密度の違いにより、似たような形状でも重さが変わります。
金属密度が高いタングステンは重くて細いバレルを作ることができます。分かりやすくすると下記のような図になります。
一般的な商品を例にしており、例外的なものは除いています。
現在最もユーザー数が多いと思われる重さは18g前後であり、アルミやステンレス、ブラスは軽いダーツと言えます。
※ 昔は16.5gが定番の重さでしたが、現在は重めのバレルが定番となってきており20g超えのバレルもたくさん見られます。
バレル素材:アルミ
アルミニウムは、金属密度の低い、大変比重の軽い素材です。
アルミ素材のバレルは、過去に発売されたバレルの中でも最も軽く3~5g前後。
※ 現在は廃盤になっています
驚異的に軽いバレルは、ダーツの軌跡に対するスイングの影響を著しく大きくするため、スイング、フォーム調整などの練習用に開発されました。
ただし、発売当時は、あまりの軽さに「刺さらない人」が続出したぐらい難しいダーツですし、逆にフォームを崩す人も出るので注意が必要です。
初心者の初めてのマイダーツには、不向きです。
バレル素材:ステンレス
ステンレス素材は10-12g前後のものが多いです。
ステンレスも硬度は高いですが、やはりとても軽い素材です。
※ 過去にはUnicornから18gのステンレスが発売されていましたが、18gという重さにするために74mmというとても長いバレルでした(通常のバレルの1.5〜2倍弱)。
アルミほどではないですが、軽さゆえに難易度が高く、主に練習用ダーツとして使われます。
正確なテイクバックやフォロースルーを要するので、自分のフォームの調整をするのに最適だと言われています。
いずれも一部のトッププレイヤーが「フォームの調整」や「指先の感覚を養うため」などの理由で使用していることが多く、実戦で使用するプレイヤーはごくまれです。
初心者の初めてのマイダーツには、不向きです。
ブラス(真鍮)素材のダーツ
ブラスは真鍮(しんちゅう)とも呼ばれ、重さは13~16gのものが多いです。
タングステンより軽いですが、アルミやステンレスよりは少し重い素材です。
価格が安いという最大のメリットを活かすため、太く軽くはなりますが、安いダーツとしても売り出されています。
太くせずに作るとタングステンより軽いバレルになりますが、こちらも練習用に使う選手がいます。
ブラスダーツを初心者用のマイダーツにおすすめする風潮もありますが、現在は、昔と違い、タングステンでも初心者用の持ちやすい形状のものが豊富にありますので、ブラスダーツは、値段が安いこと以外のメリットはほぼないかもしれません。
ダーツは小さい的に3本いれなくてはならないので太いバレルはグルーピングに不利になりますし、軽いバレルは、力みやすかったり軌道がずれやすかったりと難易度が高くなってしまいます。
また、ブラスダーツの太さに慣れてしまい、いざタングステンに切り替えるときに苦労する方もおられます。
予算が許すのであれば、最初からタングステン素材のものから始めると良いでしょう。
※ちなみにダーツバーなどに置いてある貸出用のハウスダーツも、ブラス素材で10g前後の軽いものが多いです。
貸出用のダーツは、消耗が激しく交換頻度も高いため、いかに値段を安く作るかにポイントがありますので、あまり投げやすさは考慮されていないためです。
タングステンについて
タングステン(TUNGSTEN:元素記号W)は、現在バレルの素材として最も一般的な素材です。
レアメタル(希少金属)であり、アルミやブラスなどに比べると高価な素材です。
比重が重いため、ブラスやステンレスと比べると同じ重さのバレルをより細く作ることができます。
小さな的に3本入れなくてはならないダーツにおいては、細さは非常に重要であるため、ほとんどの選手がタングステンを使用しています。
タングステンは高価な金属であるため、ブラスなどよりは値段が高くなります。
最近では20gを超える重いダーツで試合に出る選手も増えてきており、タングステンでないと実現できない重さのバレルがほとんどです。
最近は、初心者向きの形状や形のものも多く発売されており、安価なものなど種類もたくさんあるので、初めてのマイダーツには、タングステン素材のものを使った方が上達は早いでしょう。
タングステン素材で、投げやすい形のものが4000円台から購入できます。
最初の選び方に失敗しなければ、そのまま中〜上級者まで使っている方も多く、初心者用と言っても結果的にコスパも良いのではないかと思います。
タングステンのダーツで目にする「%表記」について
タングステン80%とか90%という表記はタングステンの含有率です。
単純に%が多ければ多いほど重いバレルを作ることができます。
実際にはメーカー側は同じ重さを目指すため、80%の方が少し太めのものとして発売されることが多いです。
またタングステン80%のものの方が値段が安い傾向にあります。
ユーザーが多いのはタングステン90%ですが、持ちやすい、投げやすいものであればタングステン80%でも問題はありません。
タングステンのパーセンテージは最初はあまり気にしなくてもいいかもしれません。
バレルの形状の違いについて
バレルにはいろいろな形状がありますが、形状は重心は大きく関係しています。
例えば前が膨らんだ形状をしていれば、前の方が重くなるため前重心のバレルになることが多いです。
大きく分けると
- トルピードやバレットなど前重心の形状
- スタンダードやストレートなどセンター重心が多い形状
- 逆トルピードなどの後ろ重心の形状
があります。
※メーカー側でわざとねじ切りの深さを変えるなどして重心を形状と違うものにしている場合もあります。
例)前が膨らんだ形なのに、センターや後ろに重心がある。など
トルピードの特徴
トルピードは最大径が前にある形。
重心も前にあることが多いです。前に重心があると、前方の重みで引っ張るようにボードに飛んでいくため、手を出すだけで飛ばしやすいダーツとなります。
コントロールしやすく、初心者に最適な形状です。
ちなみに、初心者のみならずトッププレイヤーもこの形状を使用する方は多く、安定した人気があります。
一口にトルピードと言っても、長さやトルピードの強弱など、かなり種類が多いので、選択肢が多く、初心者にも使いやすいものがたくさんあります。
バレットの特徴
バレットはトルピードを短くした砲弾のような形状。
もっと短くしてほぼ石のような形状のものもありますが、あまり太くなるとグルーピングに不利になってしまいます。
また、バレルが短いがゆえに、男性は手がはみ出してしまうことが多いため、どちらかというと女性におすすめ。
男性でも2本(親、指人差し指)か3本(親指、人差し指、中指)の指だけで他の指がバレルに触れないで持つ方にはオススメです。
石を投げるような感覚でコントロールしやすいバレルです。
スタンダードの特徴
スタンダードはバレルの中央部に最大径がある形状でひし形タイプとも言われます。
押して投げるタイプにも抜いて投げる人にも対応できる万能なバレルで、意外と握りやすく感じる方も多いかと思います。
ただ、トルピードほどは発売されている数も少なく、長さやカット等も限られがちです。
店頭で試して買う場合はいいですが、ネットショップで投げずにお勧めするには少し難しいところもありますので、無難なトルピードの方をお勧めします。
ストレートの特徴
ストレートは比較的上級者向け。
ストレートが投げれる人はどんなダーツでも投げれると言われるぐらい、基本的に難易度が高いです。
持つ場所がわかりにくく、まっすぐな槍を投げるような感覚なので、初心者には難しめの形状です。
センターに重心があるものが多いですが、メーカーによりねじ切りの深さを変えて重心をずらしているものもあり、持つ位置が重要になってくるため、やはり初心者には扱いづらいと言えます。
ただし、海外では日本と違って、ソフトダーツよりも的が小さいハードダーツボードが主流のため、細くてグルーピングに有利なストレートバレルを選択することが多いです。
近年、日本でも海外のハードダーツの大会に出る日本人選手が増えている影響で、ストレートの人気も上がっています。
逆トルピードの特徴
逆トルピードは最大径が後ろに来ているもので、重心も後ろになります。
あまり種類が多くないことからもわかるように、投げる人を選ぶバレルです。
セッティングをしてフライトやシャフトをつけるとさらに後ろに重心がくるため、大変扱いづらいバレルとなります。
投げやすい方には投げやすい形状ですが、こちらをいきなり買って成功するかどうかは未知数なので、できればお近くの店舗での試し投げをお勧めします。
バレルのカットについて
バレルに入っている「刻み」のことを「カット」と呼びます。
カットには、さまざまな役割があります。
- 持つ時の目印にする、持ちやすくする
- すべらないようにする、すっぽ抜けないようにする
- 押して投げる場合の押す場所にする
- デザイン、飾り
などです。
ですので、その目的に叶うのであれば、どんなカットでも構いません。
強いカットを選べば握りやすいですが、手離れは悪くなったり、引っかかったりする場合もあります。
強いカットの方が好きか弱いカットが好きか、また自分の持ちたい場所にカットの入っているかなどを基準に選ぶことになります。
カットの違いによる手のかかり具合は、実際に店頭で試し投げしてもらった方が早いです。
しかし、ネットでしか買えない方のために、上記の図も作ってみましたので、参考にしてみてください。
メーカーによって日々新しいカットは増えますので、一部のカットしか載せられていませんが、カットの強さにはある程度、強弱があります。
ノーカット、カットレス、マイクロカット
全くカットのないノーカット、少ししかカットのないカットレスから始まり、細かい線がいっぱい入ったマイクロカットなどはかかりが弱いものの代表です。
ローレット
ローレットと言って刻みがダイヤ形状に入ったものは、ザラザラとした持ち心地で全体的にかかりが強いわけではないですが、滑りにくく手離れがよいため昔から根強い人気があります。
リングカット
リングカットは、一番代表的なカットですが、幅や深さに合わせて、かかりの強さは変わるので、弱いものもあれば、強いものもあります。
Wリングは文字通りリングがダブルになっているわけですが、ダブルになるだけでかなりかかりが強くなります。
他にも最近では、面カット、多面カットなどのように面で持つようにカットされたものなどもあります。
その他のカット
カットの強いものとしては、ギザギザのシャークカット(ウィングカットやデルタカットなども)や、ターゲットというメーカーの特殊カットであるピクセルカットなども強めのかかりです。
さらにそれらのカットに加えて縦カットが入るもの、コーテックスカットなどはより強く手にかかります。
たまに海外メーカーで、手が切れるかと思うほど強いカットのものもあります。
実際はこの図のようにすべて同じカットが入るとは限らず、複合的にいろんなカットを組み合わせたバレルがほとんどです。
またメーカー側で、ここを持ってほしいなと想定する部分(重心付近)にカットが入っているものが多いのですが、くぼみを作るなど、カットそのものによって持ちやすくする場合もあります。
バレルの規格について
バレルには2BA、4BA、No.5と呼ばれる3つの規格があります。
2BA(ツービーエー)
一番種類が多くメジャーな規格が2BAです。
ほとんどのバレルがこの規格。
種類も圧倒的に多く、初めてのダーツはこちらを選ぶといいでしょう。
4BA(フォービーエー)
4BAは2BAと対をなすような規格です。
ネジのオスメスが逆になったもので、逆ネジとも呼ばれます。
2BAよりも前に細く、ネジの分だけ前重心になり飛びが鋭くなると言われます。
ネジ部分の径が約2.4mmと細いため、バレルの先端を細くデザイン設計できるのがメリット。
ハードダーツと似た飛びをするため、ハードプレイヤーに人気があります。
デメリットとして、投げた時にインパクトが強くかかりチップの持ちが悪いなどがあります。
No.5(ナンバーファイブ)
NO.5は2013年に登場した規格です。
2BAの約4mmの幅に対して径が細く、約2.4mm前後となっており、 日本メーカーMONSTERとL-styleのオリジナル規格です。
4BAと同じく、前重心かつ前を細くデザインできるのがメリットです。
デメリットはやはりこちらもチップがバレルの中で折れやすく、持ちが悪いことがあります。
4BAやNO.5規格は種類が限られ、値段の安いものもあまり発売されていないため、初めてのマイダーツは2BA規格で選ぶとよいと思います。
※ 上記の2BA/4BA/No.5以外に「1/4規格」というハウスダーツ用の規格もあります。
ダーツバーなどでの貸出用ダーツの規格です。
ハウスダーツは盗難防止などのために規格を変えています。
※ チップ側には色々な規格がありますが、シャフト側はハウスダーツを除き、1サイズ2BAのみですので、基本的にすべてのシャフトに互換性があります。
※ 4BA規格は、海外メーカー発祥の規格で「M3規格」とも呼ばれます。
日本で現在発売できるのは、現在諸事情によりDMCのアキュート(一体型削り出し)シリーズだけになっています。
過去にはスリーク、エクスコアなどメーカーにより呼び方が違う4BAが発売されていましたが、いずれも廃盤になり、今後も発売の見込みはありません。
マキシムスタッフおすすめのバレル
マキシムのスタッフがおすすめするバレルを紹介します。
安くて本格的に使えるものが欲しい方にオススメ
DYNASTY 入門 皐
3,980円(税抜)
タングステン素材の本格仕様にもかかわらず、3980円というのがかなり魅力的。
バレルデザインもさすが日本のメーカー、中央から斜めに細くなっていっており、初心者の方でも指をあてるとどこを持つかがわかりやすくなっています。
ダーツを投げる際は、まず3本まったく同じところを持って投げるというのがとても大事。持つ場所がすこしズレるだけで飛びが変わってくるからです。
その点、持つ場所が決まりやすいこちらのダーツは、まさに初めてのダーツに最適です。
D.craft PONIENTE
4,900円(税抜)
PONIENTE(ポニエンテ)は、オーソドックスなトルピードダーツ。
こちらも後半部分にグッと傾斜が入る形状でグリップも迷いません。
フロントにもしっかりとカットがあるので、広くグリップするプレイヤーにも安心です。
18.5gと適度な重量なので、重さの面からも投げやすいダーツ。
男性だけでなく女性にもおすすめの万能ダーツです。
初級〜中級まで長く愛用できる安定の定番商品
PYRO BLAZING SHADOW 80
5,926円(税抜)
こちらは王道のトルピード形状で、前重心。軽い力でしっかりと投げることができる、これぞトルピードのお手本のようなダーツバレルです。
重さ、太さ、長さのバランスも大変よく、ほとんどの方が握りやすく投げやすいダーツです。
日本のトッププレイヤー星野光正選手モデルで、初心者から中級者まで長く使っていただけると思います。
Trinidad ジョーンズ
7,223円(税抜)
こちらも持つ場所がわかりやすくて、グリップ場所に迷わないダーツ。はっきりとした前重心ダーツで重みを感じやすく投げやすいです。
しかも真ん中のくぼんだところを持てばいいので、女性や初心者の方でもかなり感覚的に投げやすいのも特徴。
お値段が少し高いにもかかわらず、店頭で、初心者の方の試し投げ後の購入率が抜群に高いダーツです。
こちらも実践向きで長く使っていただけると思います。
こだわり派向け:重いけど初心者でも投げやすいダーツ
神ダーツ 32号
5,500円(税抜)
こちらは、かなり重いので男性におすすめ。重くてズガーンと飛ばしたい方に向いているダーツ。
やや緩やかなトルピードで、後方のダブルリングカット部分をグリップして思いっきり飛ばせます。
また少し太めなので、男性の大きな指でもしっかり掴め、22gという重さでしっかりがっしり飛ばすバレル。
店頭でも試し投げ後は、男性の購入率が高いです。
こだわり派向け:ストレートにチャレンジしたい場合の初心者向けダーツ
COSMO DARTS Rain Of Grace2
11,000円(税抜)
ストレートが難しいことは百も承知!でもチャレンジしたいという初心者の方にオススメ。
値段も高めなので、慎重に決めていただきたいですが、こちらはストレートの中ではかなりおすすめ。
単なるストレートではなく、後方の複合カット部分や、中央から前方部分へのちょっとした凸形状など、グリップのガイドとなるエリアが複数あり、単なるストレートより握りやすく投げやすくなっています。
グリップ箇所も自分の投げ方に合わせて変えられるので、まだグリップの決まっていないストレート初心者にもオススメです。
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